ティッシュが水をぐんぐん吸い込む仕組み!他の紙と何が違うの?

暮らしと科学のハテナ

テーブルにお水をこぼしてしまったとき、ティッシュペーパーをそっと当てるだけで、あっという間に水が吸い取られていきますよね。

でも、よく考えてみると、同じ「紙」の仲間であるノートやコピー用紙に水を垂らしても、ティッシュのように一瞬で吸い込まれることはありません。

また、吸い込みの力は強く、重力に逆らって水が上へ上へと昇っていきます。

今回は、そんなティッシュペーパーの中に隠された、小さくて大きな科学の秘密を一緒にのぞいてみましょう。

ティッシュが水を吸うのはなぜ?身近な科学を見てみよう

普段何気なく使っているティッシュペーパーですが、実は水を引き寄せる工夫がたくさん詰まっています。

ティッシュの正体は「植物の繊維」

ティッシュペーパーはツルツルした1枚の板ではなく、細い毛のようなものがたくさん絡み合ってできていることがわかります。

この細い毛の正体は、木から取り出したセルロースと呼ばれる植物の繊維です。植物の繊維同士が複雑に重なり合うことで、ティッシュの中には目に見えないほど小さなすき間がたくさん作られています。

水と紙の仲良しパワー「引き合う力」

水には、粒同士でぎゅっとくっつき合おうとする力(凝集力・表面張力)があります。それと同時に、水はセルロースのような植物の繊維と「とても仲良し」で、繊維にぴったりくっつこうとする力(付着力)も持っています。

水滴の端っこがティッシュの繊維に触れると、水は「わあ、大好きな繊維だ!」とばかりに、繊維の表面へ引き寄せられて広がっていきます。

細い隙間を水が駆け上がる「毛細管現象」

ティッシュが水を吸い上げる最大の秘密が、理科で習う毛細管現象(もうさいかんげんしょう)という仕組みです。

ティッシュの中には、絡み合った繊維によってできた「ミクロの細い隙間(細いストローのようなトンネル)」が無数に張り巡らされています。水がその極細トンネルに入り込むと、重力に逆らって上や横へと一気に吸い上げられていくのです。

毛細管現象についてはこの記事を参照してください!
重力に逆らって水がのぼる?毛細管現象とは

ティッシュが2枚重ねになっている理由

多くのボックスティッシュを取り出してみると、薄い紙が2枚(商品によっては3枚)重なっていますよね。これにも吸水性を高める大切な役割があります。

  • 紙と紙のあいだに大きな空間ができる: 繊維の中だけでなく、重なった紙同士の間にも水が入り込むスペースが生まれます。
  • やわらかさと吸水スピードの両立: 1枚の厚い紙にするよりも、薄い紙をふんわり重ねたほうが隙間が多くなり、素早くたくさんの水分を抱え込むことができます。

ノートの紙とは大違い!他の紙とティッシュは何がちがうの?

同じ紙の仲間なのに、どうしてティッシュペーパーだけが特別に水をぐんぐん吸い込むのでしょうか。ノートやコピー用紙、段ボールなどと比べると、大きく3つの違いがあります。

1. ぎゅっと押しつぶしているか、ふんわりしているか(密度の違い)

  • ノートやコピー用紙:
    文字を書いたり印刷したりするときに破れないよう、製造時に大きなローラーで強い圧力をかけて作られます。繊維がぎゅっと押しつぶされて密度が高くなっているため、水が入り込める隙間がほとんどありません。
  • ティッシュペーパー:
    やわらかい肌ざわりにするため、強い圧力をかけずにふんわりと繊維を絡ませています。そのため、紙の中に水が通り抜けて蓄えられる「空気のトンネル」がたっぷり残っています。

2. 水をはじくお薬(サイズ剤)を使っているかどうか

紙を作るときには、用途に合わせて「水をはじく加工」をする場合があります。

  • ノートやコピー用紙: もしノートにペンで文字を書いたとき、インクがじわーっとにじんでしまったら困りますよね。そのため、筆記用紙には水をはじく「サイズ剤」という薬品が混ぜられたり、表面に塗られたりしています。このお薬のおかげで、水滴を垂らしてもすぐには染み込みません。
  • ティッシュペーパー: 水を素早く吸い取ることが目的の紙なので、水をはじくサイズ剤は一切使われていません。植物の繊維本来の「水と仲良しな性質」が100パーセント発揮されています。

3. 目に見えない細かい波(クレープ加工)があるかどうか

ティッシュペーパーを光にかざして近くで見ると、細かな波のようなシワがたくさん刻まれているのがわかります。これを「クレープ加工」と呼びます。

この細かいシワによって、紙が平らにならずに立体的なクッションのようになり、よりたくさんの水や空気を抱え込むことができるのです。

専門的な解説:もっと詳しく知りたい人へ

物理や化学の視点でさらに深く調べてみたい人は、ぜひ以下のキーワードを調べてみてください。

物理学では、毛細管現象による液面の上昇の度合いを、液体の表面張力や接触角(ぬれ性)、管の半径などを用いたジュリンの法則(Jurin’s Law)で計算できます。隙間の半径が狭いほど、重力に逆らって水が高く上がっていく仕組みが数式でよくわかります。

また、製紙工学においてノートなどの紙に施されるにじみ防止処理は「サイジング(Sizing)」と呼ばれ、ロジン系サイズ剤やAKD(アルキルケテンダイマー)などの疎水性物質で紙表面の表面自由エネルギーを制御しています。

さらに、ティッシュやトイレットペーパーのような薄葉紙では、嵩(かさ:比容積)や通気度が吸水の速さに大きく関わっています。「ジュリンの法則」「界面化学」「紙のサイジング」「バルク構造」などで検索して、身近な紙のハイテク技術を探究してみてください。

まとめ

ティッシュペーパーが水をぐんぐん吸い込むのは、「水をはじく薬品を使わず、ふんわり絡めた植物の繊維の隙間を、毛細管現象によって水が一気に駆け上がるから」です。

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参照元

  • 日本製紙連合会(紙の豆知識・パルプとセルロースの性質、サイズ剤の役割)https://www.jpa.gr.jp/
  • 文部科学省「子どもの体力・科学の疑問 Q&A(身の回りの毛細管現象)」https://www.mext.go.jp/
  • 国立科学博物館(展示学習資料・界面張力と毛細管現象)https://www.kahaku.go.jp/
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