重力に逆らって水がのぼる?毛細管現象とは

暮らしと科学のハテナ

毛細管現象って聞いたことありますよね?

なんとなく、水が細い管の中を伝っていく現象だと知っていても、その仕組みについて分かる人は意外と少ないのではないでしょうか?

今回はそんな毛細管現象について解説していきたいと思います!

そもそも「毛細管現象」とは?言葉の定義を知ろう

本格的な仕組みを見る前に、まずは言葉の意味を整理しておきましょう。

理科や物理の世界において、毛細管現象とは「細い管に液体が入ったとき、外からの力(ポンプで押し出すなど)を加えなくても、液体の面が自然と上昇したり下降したりする現象」のことを指します。

「毛細管」という言葉は、私たちの体にある「毛細血管」と同じように、髪の毛のように極めて細いくだを意味しています。このように非常に狭いすき間に入り込んだ液体が、重力などの外からの力に逆らって自発的に移動する現象全般を、科学では毛細管現象と呼んでいます。

なぜ水が登っていくの?毛細管現象の仕組み

水のつぶ同士が手をつなぐ「凝集力」

コップの中の水をぐっと拡大していくと、目には見えないほど小さな「水の分子(つぶ)」が無数に集まってできています。この水のつぶたちには、「仲間同士でぎゅっとくっつき合いたい!」という強い力(凝集力:ぎょうしゅうりょく)が働いています。

雨上がりの葉っぱの上で水滴がまん丸い形を作ったり、コップのフチぎりぎりまで水を入れたときに水面がぷっくり盛り上がったりするのも、この表面張力と呼ばれる力のおかげです。

以下の記事も見てみてください!
なぜあふれない!?お水ギリギリチャレンジ!コップから水が飛び出る理由(表面張力とは?)

別のものにペタッとくっつく力(付着力)

一方で、水にはもう一つ大切な特徴があります。それは、ガラスやプラスチック、私たちの肌など、「触れている別のものにくっつこうとする力(付着力:ふちゃくりょく)」です。

たとえば、机の上にぽつんと垂らした丸い水滴を指先でそっと触ってみてください。指をゆっくり上に持ち上げると、水滴が指にくっついて、びよーんと持ち上がってきますよね。机を拭くときにも、指の腹に水が吸い付くような感覚があるはずです。これがまさに「別のものにくっつこうとする力(付着力)」が働いている証拠です。

細いすき間で毛細管現象が始まる!

では、これが髪の毛のように細いくだや、ごくわずかなすき間の中だとどうなるでしょうか。

  1. 水のつぶが、細いくだの内側の壁に「ペタッ」とくっついて上に登ろうとします(付着力)。
  2. すると、壁を登ったつぶが「みんなもおいでよ!」と、下にいる仲間のつぶをグイグイ上に引っ張り上げます(凝集力・表面張力)。
  3. 壁をよじ登る力と仲間を引き上げる力が合わさることで、水は重力に負けずに細いくだの中をぐんぐん自力で登っていきます。

なぜ「細い管」が必要なの?太い管だとどうなる?

ここで大きな疑問が浮かんできますよね。「どうしてわざわざ“細い管”じゃないといけないの?」「太いストローや普通のコップじゃダメなの?」という点です。

その答えは、「上に引っ張り上げる力」と「水全体の重さ(重力)」の力比べにあります。

細い管(毛細管)の場合
管が髪の毛のように細くなると、中の水の量はごくわずかになり、とても軽くなります。しかも、水滴のほとんどが壁とくっついているため、壁にペタッとつく力(付着力)が管の中のほとんどの水にはたらくので重力に逆らうことができるのです!

太い管(太いストローやコップ)の場合
太い管でも、壁にくっついているフチの水は上に登ろうとしています。しかし、管が太いと中に入っている「水の量」がとても多くなります。壁から離れた真ん中の水は壁につかまることができず、ただ重力で下に引っぱられるだけです。結果として、水の重さのほうが勝ってしまい、水面全体を持ち上げることができません(端っこがわずかに持ち上がるだけにとどまります)。

つまり、管が細ければ細いほど、持ち上げるべき水の重さに対して「引っ張り上げる力の割合」が格段に大きくなるため、水は力強く高いところまで登っていくことができるのです。

身の回りで大活躍!毛細管現象のびっくりな例

この仕組みは、特別な実験室の中だけでなく、私たちが暮らす日常や大自然のなかで大活躍しています。

・木が水を吸い込み、てっぺんまで運ぶ仕組み

・ティッシュが水を吸い込む仕組み

さらに深く知りたい人へ!一歩先の科学の世界

もっと詳しく調べてみたい人のために、高校や大学の物理・化学で学ぶ専門的なキーワードを少しだけ紹介します。

  • ジュリンの法則(Jurin’s law):細い管の中で液体がどのくらいの高さまで登るかは、計算式で求めることができます。登る高さ(h)は、液体の表面張力や接触角に比例し、管の内径(半径)や液体の密度、重力加速度に反比例します。「管の内径(半径)が半分になれば、登る高さは2倍になる」という反比例の関係を明快に示した法則です。気になったら理科の資料集などで調べてみてくださいね。
  • 接触角(せっしょくかく)と濡れ性:液体が固体の壁にくっつくときの「なじみやすさ」を表す角度のことです。水とガラスのように引き合う力が強いと液体は登りますが、水銀とガラスのように液体同士の引き合う力(凝集力)のほうが圧倒的に強い場合は、管の中の液面は逆に周りよりも低くなります。
  • 土壌物理学や建築での応用:土の中の水分がどのように移動するかを考える農業分野や、コンクリートが地下水を吸い上げないように工夫する建築の防水技術など、毛細管現象のコントロールは産業界でも重要なテーマになっています。

まとめ

水が重力に逆らって上へのぼっていく様子には、目に見えない分子同士の引っ張り合いと重力のバランスという、緻密な科学のドラマが隠れています。身近な「なぜ?」に目を向けてみると、いつもの景色がもっと面白く見えてきますよ。

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参照元

  • 文部科学省 小学校理科・中学校理科 学習指導要領(水溶液の性質、植物の体のつくりと働き)
  • 国立科学博物館 理科ねっとわーく「表面張力と毛細管現象」
  • 日本物理学会 ジュリンの法則解説資料
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