GPSの仕組み!なぜ、いつでもどこでも自分の居場所が分かるのか?

暮らしと科学のハテナ

スマートフォンで地図アプリを開くと、運転中の車のナビでいつでもどこでも自分の位置が分かりますね!

それは今や当たり前となっているGPSのおかげですが、多くの人はその仕組みを詳しく知らないのではしょうか?

実はこの仕組み、携帯電話の通信アンテナだけでなく、はるか上空の宇宙を飛んでいる人工衛星が大きく関わっています。日々の暮らしのなかの素朴な疑問を、一緒にひもといていきましょう。

どうして居場所がわかるの?GPSの基本

私たちが普段「GPS」と呼んでいるものは、日本語で「全地球測位システム(Global Positioning System)」といいます。これは、地球の周りを回っている人工衛星を使って、地球上のどこにいても自分の位置を測定できるシステムのことです。

では、スマートフォンはどのようにして宇宙からの情報を受け取っているのでしょうか。順を追って見ていきましょう。

宇宙を飛ぶ「時計を持った星」

地球の上空およそ2万キロメートルという、とてつもなく高い場所には、GPS衛星と呼ばれる専用の人工衛星がたくさん飛んでいます。その数は30機以上にもおよび、地球全体を包み込むように決まったルートを周回しています。

この衛星たちが何をしているかというと、実は「今、何時何分何秒か」という極めて正確な時刻データと、「自分は今、宇宙のどこにいるか」という軌道データを、電波に乗せて地球へ向けて絶え間なく発信し続けています。つまり、衛星は宇宙から「私は今ここにいて、時間は〇時〇分〇秒だよ!」と叫び続けているのです。

電波が届く「ズレ」で距離を計算する

衛星から出された電波は、光と同じスピード(1秒間に約30万キロメートル)で地球に向かって進みます。とても速いスピードですが、宇宙から地上までは距離があるため、地上に届くまでにほんの少しだけ時間がかかります。

スマートフォンの中に組み込まれているGPS受信機は、その電波をキャッチして「衛星が電波を出した時間」と「自分が電波を受け取った時間」を見比べます。

例えば、電波が届くまでに0.07秒かかったとします。電波のスピードにこの時間を掛け算すると、自分と衛星との間の距離が計算できます。

距離 = 電波の速さ(秒速約30万km) × 届くまでにかかった時間

こうして、スマートフォンは「自分がある衛星から何キロメートル離れた場所にいるか」を割り出しています。

なぜ複数の衛星が必要なの?

1つの衛星からの距離がわかっても、居場所はひとつに決まりません。その衛星を中心とした大きな球体の表面のどこかに自分がいる、ということしか分からないからです。

そこで、複数の衛星を使います。

  • 1機だけの場合
    衛星を中心とした球体の表面のどこか(場所は絞り込めません)
  • 2機の場合
    2つの球体が重なり合う円周のどこか(まだ線の上です)
  • 3機の場合
    3つの球体が交わる「2つの点」のどちらか(片方は宇宙空間などのあり得ない場所になるため、実質1点に絞り込めます)

算数の幾何学的な考え方では、3つの距離がわかれば平面だけでなく高さを含めた場所が決まります。しかし、実際には最低4機の衛星からの電波が必要です。

*この画像はAIで作成したため正確ではありません

なぜ4機必要かというと、スマートフォンの内部にある時計のズレを直すためです。衛星には誤差が数億年に1秒という超高性能な原子時計が積まれていますが、スマートフォンにそんな巨大で高価な時計は入れられません。そのため、4機目の衛星からの電波を使ってスマートフォンの時計のズレを計算し、完璧に補正しています。

よくあるギモン:山奥でスマホが「圏外」になったらどうなるの?

ここでひとつの疑問が浮かんできますよね。「携帯電話の電波が圏外の場所に行ったら、GPSも使えなくなるんじゃないの?」「インターネットに繋がらないと、正確な時間も分からなくなって距離の計算が狂うんじゃないの?」という点です。

実は、通信が圏外になっても、GPSはそのまま動きます

携帯の通信とGPSはまったくの別物

スマホが通話やネットで使っている電波は、街中にある「携帯電話の基地局」とやり取りしています。一方、GPSは「宇宙の衛星から一方的に降り注ぐ電波」を受信しているだけです。テレビの電波を受け取るアンテナと同じで、スマホ側から宇宙へ電波を送り返す必要もありません。そのため、山奥や海の上で携帯のアンテナが「圏外」になっていても、空が見えていれば衛星からの電波をしっかりキャッチできます。

圏外でも時間が狂わない理由

「でも、スマホの時計はネット経由で合わせているから、圏外だと時間がズレて計算できないのでは?」と思いますよね。ここがGPSの非常に優れているポイントです。

先ほど紹介したとおり、衛星からの電波そのものに「超高精度な原子時計の時刻」が書き込まれています。さらに、4機以上の衛星からの電波を組み合わせることで、スマホ内部の時計が何秒ズレているかまで同時に逆算して自動修正してしまいます。

つまり、通信が圏外であっても、SIMカードが入っていなくても、スマホは宇宙からの電波を受け取るだけで「正確な現在地」と「1秒の狂いもない正確な時刻」の両方を手に入れているのです。

(※ただし、圏外だと道路や建物の「地図画像」をネットからダウンロードできなくなるため、画面が真っ白に青い点だけが表示されることがあります。あらかじめ地図を保存しておく登山アプリなどで圏外でも現在地がわかるのは、この仕組みのおかげです。)

さらに深く知りたい人へ!一歩進んだ専門の扉

GPSの基本が分かると、もっと細かい部分が気になってくるかもしれません。実は、GPSが正確に動く背景には、人類の偉大な科学の法則が組み込まれています。興味が湧いた人は、ぜひ以下のキーワードを調べてみてください。

アインシュタインの「相対性理論」が使われている?

衛星の時計は、地上の時計と進み方が違います。アインシュタインの特殊相対性理論(速く動くものは時間の進みが遅くなる)と、一般相対性理論(重力が弱い場所では時間の進みが速くなる)の両方の影響を受けるためです。差し引きすると、衛星の時計は地上よりも1日に約100万分の38秒早く進んでしまいます。「たったそれだけ?」と思うかもしれませんが、光の速度では1日で10キロメートル以上のズレになってしまいます。GPSは、この相対性理論による時間の狂いをあらかじめ計算して修正しています。

  • 調べてみよう:GPSと一般相対性理論、特殊相対性理論

日本の真上を通る「みちびき」とは?

ビルの多い街中や山奥に行くと、ビルの壁や木に電波が遮られてGPSの精度が落ちることがあります。そこで日本は、常に日本のほぼ真上空に留まるように飛ぶ準天頂衛星「みちびき(QZSS)」を打ち上げました。真上から電波が届くため、ビルの谷間でも途切れにくくなり、対応機器では誤差数センチメートルという非常に高い精度を実現しています。

  • 調べてみよう:準天頂衛星システム(QZSS)、センチメートル級測位補強サービス

まとめ

手のひらのスマートフォンが居場所を教えてくれるのは、携帯の電波だけでなく、宇宙を飛ぶ衛星たちと光の速さを使った正確な時間のキャッチボールを行っているからです。

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