宇宙へ行けばあなたの体重は一瞬で軽くなります。でも、あなたの体の質量は全く変わっていません!
今回は、普段の生活では同じように使われがちな「質量」と「重さ」のちがいを、身近なナゾから計算式も交えて解き明かしていきます。
毎日の暮らしにあふれる「重さ」のフシギ
体重計が教えてくれる数字の正体
お風呂上りにいつものる体重計
体重計の画面が示すのはあなたの身体の質量ですが、体重計が測っているのは重さなんです
「質量」と「重さ」は何がちがうの?
似ているようで役割が違う2つの言葉を、もう少し整理してみましょう。
どこへ行っても変わらない「質量」
質量とは、その物体を作っている物質が「どれだけ詰まっているか」を表す量です。
宇宙に行こうが、深海深くに潜ろうが、月に行こうが、絶対に変化しません。つまり、重力や浮力によって変化しません
まわりの環境で変わってしまう「重さ」
重さとは、その物体に働く「重力の大きさ(引っ張られる力)」のことです。
よって、月に行って重力が小さくなると重さは軽くなり、無重力状態では重さは必ず0になります!
計算式でスッキリ解明!「重さ」はどう決まる?
言葉だけだと少しややこしいですよね。でも、実はとてもシンプルな計算式でスッキリ理解できます。
重さを求める魔法の式
物が星から引っ張られる力(重さ)は、次の式で計算します。
- 重さ(N) = 質量(kg) × 重力加速度(m/s^2)
ここで出てくる「重力加速度」とは、星が物をギュッと下に引っ張る強さ(勢い)のことです。地球では、この引っ張る強さがおよそ「9.8 m/s^2」と決まっています。
地球と月で計算してみよう
たとえば、質量が「60 kg」の人がいたとします。
- 地球での重さ:60 kg × 9.8 m/s^2 = 588 N
- 月での重さ:月の引っ張る強さは地球の約6分の1なので、およそ「1.6 m/s^2」になります。60 kg × 1.6 m/s^2 = 96 N
式を見るとよく分かりますが、本人の体の量である「60 kg(質量)」はどちらも全く変わっていません。かけ算する相手(星の引っ張る強さ)が変わったことで、答えである「重さ(N)」が変化したのです。
体重計の「体重」は質量?それとも重量?
水中や無重力状態で体重計にのることを考えてください。あなたの体重はお風呂場で測るよりも軽く表示されることが想像つきますよね?
では、目盛りに表示される体重は環境で変化する重量なのかと疑問に思いませんか?
答えを言うと、おうちにある体重計が表示する「体重」は、きちんと質量になるよう調整されています。
重さ(N) = 質量(kg) × 重力加速度(m/s^2)
この式を少し変形すると以下のようになります
質量(kg) =重さ(N) ÷ 重力加速度(m/s^2)
つまり、重さが分かることで質量が分かるのです!
体重計が測っているのは、あなたの身体が重力によってどれだけの力で体重計を押しているかです、そして測ったこの重さを使って体重(質量)をもとめているのです!
地球の上でも場所によって重さは違う
実は、日本国内だけでも北海道と沖縄では、地球の自転による遠心力や地球の中心からの距離が違うため、重力の強さに約0.1%の差があります。もし補正されていない高精度のバネばかりを使うと、北海道で1000gだったお肉が、沖縄では約999gと表示されてしまうのです。
もっと知りたい人へ!一歩先の科学の世界
ここからは、さらに科学を深掘りしたい人へのヒントです。興味がわいたら、ぜひ図書館やインターネットで次のキーワードを調べてみてください。
- 運動方程式「F = m a」今回紹介した「重さ = 質量 × 重力加速度」という式は、実は物理学の基本である「力(F)= 質量(m)× 加速度(a)」という運動方程式そのものです。重力も「力」のひとつなんだという視点で、ぜひ「ニュートンの運動方程式」を調べてみてください。
- 「質量」と「慣性(かんせい)」の関係宇宙ステーションなどの無重力空間では、モノの重さはゼロ(0 N)になります。しかし、目の前に浮かぶ巨大な宇宙船を手で急に止めようとすると、激突して大ケガをします。モノには「今の動きをそのまま続けようとする性質(慣性)」があり、動かしにくさは質量に比例するからです。ぜひ「慣性質量」という言葉を調べてみてください。
まとめ
「質量」はどこへ行っても変わらないモノそのものの量、「重さ」は星が引っ張る力の大きさです。
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参照元
- 文部科学省 中学校理科教科書指導要領「力と運動・物質の量」
- 計量標準総合センター(NMIJ/AIST)「質量の単位キログラムと重さの定義」「はかりの地域補正について」
- 国土地理院「日本における重力の測定と地域差」

