ゼリーがプルプルしている理由は、コラーゲンにあります!
ゼリーがプルプルしている理由
ゼリーの独特な食感は、骨組みを作っている「ゼラチン」の性質と、そこに閉じ込められたたっぷりの「水」の組み合わせによって生まれています。
プルプルのひみつ

- ゼラチンの正体は動物の「コラーゲン」
ゼリーを固めているゼラチンは、豚や牛の皮や骨に多く含まれる「コラーゲン」というタンパク質を取り出して作られています。
コラーゲンの鎖同士が再び寄り集まって、ゆるやかな「網目(ジャングルジムのような立体構造)」を作ります。 - 成分のほとんどは「水」でできている
ゼリーの重さのうち、ゼラチンはわずか2〜3%ほどしかありません。残りの80〜90%以上は普通の水です。わずかな骨組みが、自分の重さの何十倍もの水分を網目の中に抱え込んでいます。
キュウリも水がたっぷりなのに、なぜプルプルしないの?
キュウリも成分の約95%が水分なのに、ゼリーのようにプルプル揺れることはありません。同じく「ほとんど水」なのに全く違うのは、水を閉じ込めている「入れ物」が違うためです。
水の閉じ込め方の違い

- キュウリは「硬い箱の小部屋」に水を詰めている
キュウリなどの植物は、(セルロース)でできた「細胞壁」という頑丈な殻があり、この硬い小部屋の中に水がぎゅうぎゅうに閉じ込められています。そのため、押しても簡単には変形せず、歯で噛むと小部屋が破れてシャキッと砕けます。 - ゼリーは「やわらかい毛糸の網」
ゼリーには細胞のような硬い殻や仕切りが一切ありません。水の中に長くてしなやかなタンパク質の糸が広がり、糸の端同士がゆるく結ばれて、全体がひと続きのクモの巣のようになっています。中の水も網目のすき間を自由に行き来できるため、やわらかさを保てます。

ほかの硬い固体は骨組みがしならないの?
金属のスプーンや氷、ガラスなどの硬い固体と、ゼリーの骨組みは何が違うのでしょうか。
骨組みのしなりやすさとしなる仕組み
- 普通の固体は「ガチガチの硬いバネ」
金属や氷は、原子や分子同士が非常に強い力でカチッと固定されています。外から力を加えると分子の距離がごくわずかに伸び縮みしますが、極めて硬いバネのような結合なので、指で押したくらいでは全く変形しません。無理に曲げようとすると、しなる前にポキッと折れてしまいます。 - ゼリーは「クネクネした糸のたわみ」
ゼリーの骨組みは、硬いバネではなく、長くてクネクネした糸が絡まり合ってできています。力を加えると、丸まっていた糸がスルスルと伸びたり、網目の角度がグニャリと傾いたりして形を変えます。分子の手をつなぎ直すわけではないため、とても小さな力でも大きくしなります。 - しなる骨組みと重たい水が合わさり
輪ゴムのように分子が詰まったゴム製品は、指ではじくと「ペチン」と一瞬で戻ります。しかしゼリーは、しなやかな骨組みの中に「たっぷりの重たい水」が含まれています。骨組みが元の形に戻ろうとする力に対して、中の水が波打ちながらゆっくりブレーキをかけるため、水面のように余韻を残して「プルプル」と震え続けるのです。
もっと知りたい人向けの専門解説
ゼリーが示す独特な性質は、物理学や化学の世界で「物質の状態」を考える大切なテーマとして研究されています。
粘弾性(ねんだんせい)
ゼリーは、外力を加えたときに元の形に戻ろうとする固体の性質(弾性)と、力を逃がして流れようとする液体の性質(粘性)を同時に併せ持っています。この性質を「粘弾性」と呼びます。ゼリーを揺らしたときに規則的な振動がゆっくりと弱まっていくのは、粘弾性体特有の緩和現象です。
エネルギー弾性とエントロピー弾性
金属やガラスの変形は、原子同士の引き合う力と反発する力のバランスが崩れることで生じる「エネルギー弾性」です。これに対してゼラチンゲルやゴムの変形は、熱運動によってランダムに丸まっていた高分子の鎖が引き伸ばされ、熱力学的に最も乱雑で安定な状態(エントロピー最大)に戻ろうとする「エントロピー弾性」によって生じます。この仕組みの違いが、数百万倍もの変形しやすさの差を生み出しています。
ハイドロゲルと膨潤平衡
ゼリーのように、水を含んで立体的な高分子ネットワークを形成したものを「ハイドロゲル」と呼びます。植物細胞が硬さを保つ「浸透圧による膨圧」とは異なり、ハイドロゲルは高分子が水を引き寄せて広がろうとする力と、網目自体が縮もうとするゴム弾性が釣り合う「膨潤平衡」によってその形を維持しています。
調べてみよう!
さらに興味がわいた方は、「粘弾性とレオロジー」「エントロピー弾性」「ハイドロゲルの構造」「寒天とゼラチンの違い」などを図書館の科学図書や理科の資料集で調べてみてください。身の回りのやわらかい物質を見る目がガラリと変わるはずです。
まとめ
ゼリーのプルプルは、しなやかなタンパク質の網目がたっぷりの水をやさしく抱きしめ、お互いにゆれ合っているサインです。
おすすめ記事
参照元
- 日本ゼラチン・コラーゲン工業組合「ゼラチンとは」
https://www.gmj.or.jp/ - 文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」
https://www.mext.go.jp/a_menu/syokuhin/syokuseibun/index.htm - 日本レオロジー学会「レオロジーとは」
https://www.srj.or.jp/
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