ふだんお買い物をするとき、おやつの数を数えるとき、私たちはあたりまえのように「1、2、3……」と数えて、9の次は10に繰り上がりますよね。
でも、ちょっと立ち止まって考えてみてください。「どうしてキリが良い数字は10なんだろう?」「8や12で区切ってもよかったんじゃないの?」と、疑問に思ったことはありませんか?
実は、私たちが何気なく使っているこの「10進法(じっしんほう)」には、大昔の人たちの体のつくりや、歴史の知恵がぎっしり詰まっているのです。今回は、身近な「なぜ?」を解き明かしながら、10進法の不思議な世界を一緒に探検してみましょう!
10進法の解説:どうして世界中が「10」を選んだの?
理由はずばり「手の指が10本あるから」
一番の理由は、とてもシンプルです。私たち人間の両手には、合わせて10本の指がありますよね。
大昔、文字や計算機がなかった時代、人々は獲物の数や採れた木の実の数を数えるために、まず自分の体を使いました。目の前のものを指折り数えていくと、両手の指を使い切ったところでちょうど「10」になります。
「指が全部折れたら、小石を1個置いてひと区切りにする」
このようにして、10をひとつのまとまり(桁)として扱う方法が、世界中の多くの地域で自然と生まれました。古代エジプトや古代中国、インダス文明など、遠く離れた地域でそれぞれ10進法が使われていたのも、人間なら誰でも手に10本の指を持っていたからなのです。
「十進法」と「十進数」の違いってなに?
言葉がとても似ているので同じものと思われがちですが、意味の焦点が違います。
- 十進法(じっしんほう):
数を表したり数えたりする「ルール・仕組み(法則)」のことです。「0から9までの10個の記号を使って、10集まったら桁を1つ繰り上げる」という全体の約束事を指します。英語では「decimal system(十進法の体系・方式)」と呼びます。 - 十進数(じっしんすう)
その十進法のルールに従って実際に書き表された「具体的な数そのもの」のことです。たとえば私たちが普段書く「25」や「100」という数値そのものを指します。英語では「decimal number」と呼びます。
日常会話や小学校の算数ではそこまで厳密に区別されないことも多いですが、「法=ルールや仕組み」「数=そのルールで書かれた数字」と覚えるとすっきり整理できます。さらにコンピューターの世界を深く知りたいときは、「基数(きすう)」という言葉もあわせて調べてみてくださいね。
もし指が8本だったらどうなっていた?
もし、人間の指が片手に4本ずつ、合計8本しかなかったらどうなっていたでしょうか。きっと私たちは「8進法」を使っていて、7の次が「10」になっていたかもしれません。私たちが普段使っている数字の仕組みは、実は私たちの体のかたちから直接生まれてきたものなのです。
10進法のすごいところ「位取り(くらいどり)」の発明
10進法がこれほど便利に世界中で使われているのには、もう一つ大きな秘密があります。それが「位取り記数法(くらいどりきすうほう)」と「0(ゼロ)」の発見です。
例えば、「333」という数字を見てみましょう。同じ「3」という形が並んでいますが、一番右は「3」、真ん中は「30」、一番左は「300」を表していますよね。
- 右から1番目:1の位(1が3個)
- 右から2番目:10の位(10が3個)
- 右から3番目:100の位(10×10が3個)
このように、数字を書く「場所(桁)」によって10倍ずつ大きくなるルールがあるため、どんなに途方もなく大きな数でも、たった「0、1、2、3、4、5、6、7、8、9」の10種類の記号だけで書き表すことができます。この仕組みのおかげで、筆算や複雑な計算がものすごく簡単になりました。
実は身の回りにある「10進法じゃないもの」
世界中が10進法で動いているように見えますが、実は私たちの周りには10進法以外の数え方も残っています。
時計を見てみてください。
- 1分は「60秒」
- 1時間は「60分」
- 1日は「24時間」
これは古代メソポタミアで生まれた「60進法」や「12進法」の名残です。12や60という数は、2、3、4、6などたくさんの数で割り切れるため、時間を均等に分けるのにとても便利だったから採用されました。用途に合わせて違う数え方が残っているのも面白いところですね。
さらに詳しく知りたい人へ:専門的な補足
日常では当たり前の10進法ですが、数学や情報科学の視点から見ると、また違った面白さが見えてきます。もっと深く学びたい方は、ぜひ次のキーワードを調べてみてくださいね。
- コンピューターが使う「2進法」と「16進法」
私たちが10進法を使う一方で、スマートフォンやパソコンの頭脳は「0」と「1」の2つの状態(電気のオンとオフ)だけで計算を行う「2進法」で動いています。データを効率よく整理するために「16進法」もよく使われます。「基数変換」というキーワードを調べると、10進法と2進法の間で数字を行き来させる仕組みがよく分かります。 - ゼロの概念とインド数学の歴史
位取り記数法が完成するためには、「何もない場所」を埋める「0(空・シューニャ)」の存在が不可欠でした。古代インドで0が数として定義され、それがアラビア半島を経由してヨーロッパへ伝わったことで、現代の「アラビア数字」が世界標準になりました。数学史の本をのぞいてみると、さらに深い発見がありますよ。
まとめ
私たちが何気なく使う10進法は、私たちの「手」と大昔の人々の知恵から生まれた、世界共通の便利な道具です。
おすすめ記事
参照元
- 文部科学省「小学校学習指導要領(平成29年告示)解説 算数編」(第2章 各学年の目標及び内容:第1学年・第2学年における十進位取り記数法の指導内容)
https://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/new-cs/youryou/siyou/index.htm - 国立国会図書館「NDLイメージバンク:日本の暦・時間の歴史(六十進法・十二進法等の歴史的背景)」
https://ndlsearch.ndl.go.jp/ - 独立行政法人情報処理推進機構(IPA)「ITパスポート試験 シラバス(基数変換、2進法・10進法・16進法に関する基礎知識)」
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/it-passport.html
