植物がどうやって水を吸って、体の端まで運ぶのか?

暮らしと科学のハテナ

公園の大きな木や、おうちの植木鉢に咲くお花を見つめたとき、どのようにして水を吸って、葉っぱやてっぺんの幹まで運んでいるのだろうと不思議に思ったことはありませんか?

私たち人間がお水を飲むときは、コップを持ってお口で吸い込みますよね。家のお風呂や台所に水を届けるのにも、電気で動く強力な機械のポンプが必要です。でも、植物には手も口も、電気のスイッチもついていません。それなのに、背の高い大木はビル何階分もの高さまで、毎日休まずに根っこから水を吸い上げています。

一体、植物の体の中ではどんなすごいことが起きているのでしょうか?身近な「なぜ?」の扉を開けて、植物たちの不思議なパワーを一緒にのぞいてみましょう!

なぜ植物は水を吸い上げられるの?体の仕組みを大解剖!

植物が水を根っこから葉っぱまで届ける仕組みは、実は1つの力だけではなく、3つの力がバトンリレーのようにつながることで生まれています。

力その1:お口からお水を出す「蒸散(じょうさん)」の力

一番大きな原動力は、なんと一番上にある「葉っぱ」にあります。

葉っぱの裏側には、「気孔(きこう)」という目に見えないほど小さな穴がたくさん並んでいます。植物はここから、体の中の余分な水分を「水蒸気」という目に見えない気体にして、空気中へと逃がしています。この働きを「蒸散(じょうさん)」と呼びます。

ストローで水を飲むところをイメージしてみてください。ストローのてっぺんから水を吸い込むと、てっぺんからなくなった水を補充するように、下の水が自然と引っ張り上げられますよね。

葉っぱから水が出ていくことで、植物の体の中のストローを使って、下にある水をぐーんと引っ張り上げる強い力が生まれるのです。

力その2:水と管が手をつなぐ「毛細管現象(もうさいかんげんしょう)」

植物の中には、根っこから葉っぱの先まで、細長いチューブのような管が張り巡らされています。水には「狭いすき間や細い管の中を、ひとりでに上へのぼっていく」という特別な性質があります。これを「毛細管現象」といいます。

毛細管現象については以下の記事を参照!
重力に逆らって水がのぼる?毛細管現象とは

さらに、水をつくる分子同士には、お互いに強く手をつなぎ合う「引き合う力(凝集力)」があります。細い道管の中で水同士がしっかり手をつなぎ、1本の長くて強いロープのようになっているからこそ、途中でちぎれずに上へ登っていけるのです。

力その3:根っこがお水をギュッと押し込む「根圧(こんあつ)」

最後は、地下で頑張る「根っこ」の力です。

植物の根っこには「根毛(こんもう)」という細い毛が無数に生えています。土の中の水と、植物の体の中にある液体の濃さを比べると、植物の中のほうが栄養などが溶けていて濃くなっています。

自然界には「薄い液体が、濃い液体を薄めようとして入り込む」という「浸透圧(しんとうあつ)」という決まりがあります。

この働きによって、根っこは土の水分をぐんぐん吸い込み、上に向かって「ギュッ」と押し出します。これを「根圧」と呼びます。朝早くに葉っぱのフチにキラキラした水滴がついているのを見たことはありませんか?あれは、根っこが夜の間に水を押し上げた証拠なのです。

もっと深く知りたい人へ!専門的な解説と探究のヒント

さらに一歩踏み込んで科学の仕組みを解き明かしたい人は、以下のテーマを調べてみてください。高校生物や物理の世界へとつながる、面白い発見がたくさん待っていますよ。

「凝集力・張力説(コヒージョン・テンション理論)」を調べてみよう

植物が数十メートル以上の高さまで水を持ち上げる仕組みは、学術的には「凝集力・張力説」として広く説明されています。葉の気孔から水分が蒸発することで生じる強い陰圧(引っ張られる張力)と、水分子同士の水素結合によって生まれる驚異的な「凝集力」が組み合わさることで、水柱が途切れずに連続して上昇します。気泡が入って水流が止まる「キャビテーション(道管閉塞)」を植物がどう防ぎ、回復させているのかを調べてみると、植物生理学の奥深さを実感できます。

根の「カスパリー線」とアポプラスト・シンプラスト経路

根から吸収された水がどのように中心の道管へ届くのかにも、精巧な関門があります。細胞壁の間を通る「アポプラスト経路」と、細胞の内部を通る「シンプラスト経路」が存在し、内皮細胞にある「カスパリー線」という疎水性の帯が不要な物質の侵入をブロックするフィルターの役目を果たしています。植物の「無機塩類(ミネラル)の選別吸収」というキーワードで検索してみるのがおすすめです。

まとめ

植物は電気も筋肉も持っていませんが、「葉っぱから蒸発する力」「水が引き合う力」「根っこが押し込む力」という自然の法則を見事に組み合わせて、生きるための水を全身に届けています。

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