プールやお風呂で潜ったとき、「耳には穴があいているのになんで水が入ってこないんだろう」と考えたことありませんか?
今回は、その不思議を一緒に解き明かしていきましょう。
どうして耳の奥まで水が入らないの?
普段は何気なく入っているお風呂やプールですが、耳の穴をじっくり観察したことはありますか。実は、耳の穴の中には頑丈な「壁」と「空気のクッション」が用意されています。
コップを逆さにしたときと同じ「空気の壁」
耳の穴はとても細く、奥が行き止まりになっている細長いトンネルです。ここに水が入ろうとすると、トンネルの中にもともとあった空気が逃げ場を失ってギュッと閉じ込められます。

お風呂の中で、空っぽのプラスチックのコップを逆さまにして、まっすぐお湯の中に沈めてみたことはありますか。コップの中には空気がたまっているので、奥までお湯が入ってきませんよね。耳の中でもまったく同じ現象が起きています。空気のクッションが押し返してくれるため、そもそも水は鼓膜のすぐ手前までしか入ってこないのです。
もしも水が空気の壁を突破したら?
いくら空気の壁があるといっても、シャワーのように細くて勢いのある水流が耳にかかると、入り込んでしまうこともありますよね。この時、耳にはさらなる壁があります!
突き当たりにある頑丈な扉「鼓膜」
耳の穴の入り口から2.5センチから3センチほど奥へ進むと、鼓膜(こまく)という薄い膜がピーンと張られています。この鼓膜は耳の穴を完全にふさいでいて、すき間はまったくありません。

耳の中は大きく分けて「外耳(がいじ)」「中耳(ちゅうじ)」「内耳(ないじ)」の3つの部屋に分かれています。外耳はお外とつながっている穴の部分で、鼓膜はその外耳と中耳をしっかり分ける「頑丈なドア」の役目を果たしています。このドアがぴったり閉まっているおかげで、外から入ってきた水が頭の中や体の奥へ流れ込むことはありません。
くねくね曲がったトンネルの形
耳の穴は、まっすぐな一本道ではありません。大人の耳でも子どもの耳でも、アルファベットの「S」の字のように少し曲がっています。
この緩やかなカーブのおかげで、水が勢いよく飛び込んできても途中でブレーキがかかります。さらに、耳の穴の表面には皮脂(ひし)という天然のあぶらが分泌されていて、水をはじくコーティングの役割も担っています。
耳に水が入った感じがして抜けないときはどうする?
耳に水が入るとなかなか抜けないですよね!
もちろん鼓膜やカーブによって全く問題ないのですが、とにかく不快です!
この不快感は中の少量の水が表面張力で張り付くことによっておこります。
無理にほじくらないのがお約束
水が残って気持ち悪いからといって、指や綿棒を奥まで無理に突っ込むのは絶対にやめましょう。耳の中の皮膚はとても薄くてデリケートです。綿棒で強くこすると皮膚を傷つけてしまったり、奥にある鼓膜を突いてしまったりして危険です。
上手な水の抜き方
耳に入った水を抜くときは、水が入ったほうの耳を地面に向けて、首をかしげながら「トントン」と片足で軽く跳ねてみましょう。また、温かいタオルを耳に当てて横になるのもおすすめです。耳の中が温まると、たまっていた水が自然と蒸発したり、外へ流れ出やすくなったりします。
もっと知りたい人へ!一歩進んだ耳の科学
耳の構造や水の動きについてもっと深く知りたくなった人は、ぜひ次のキーワードを図鑑やインターネットで調べてみてください。
調べてみよう:外耳道(がいじどう)と表面張力(ひょうめんちょうりょく)
耳の穴の正式な名前は「外耳道」といいます。外耳道の断面はおよそ数ミリメートルと非常に小さく、水滴にとっては狭い隙間です。水には互いに引き合って丸まろうとする「表面張力」という力があり、これが狭いトンネル内の空気圧と合わさることで、水が奥へ侵入するのを防いでいます。
調べてみよう:耳管(じかん)の役割
鼓膜の奥にある「中耳」は、鼻の奥と「耳管」という細いくだでつながっています。飛行機に乗ったときや高い山に登ったときに耳が詰まった感じがして、ツバを飲み込むと治ることがありますよね。これは耳管が開いて、鼓膜の内側と外側の空気の圧力を同じに調整しているからです。中耳と外耳の気圧バランスがどう保たれているかを調べると、耳の仕組みがさらに面白くなりますよ。
耳の穴は行き止まりになっていて、頑丈な鼓膜と空気の壁が水から守ってくれています。
おすすめ記事
参照元
- 日本耳鼻咽喉科頭頸部外科学会(耳の構造と役割について)
https://www.oto-rhino.or.jp/ - 一般社団法人 日本耳鼻咽喉科医会(耳の病気・耳の健康管理)
https://www.orl-med.or.jp/ - 厚生労働省 e-ヘルスネット(感覚器の健康と仕組み)
https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/

