ふだん何気なく触れている窓ガラスやコップ。落とすと「ガシャン!」と割れてしまうくらいカチカチに硬いですよね。でも、実はガラスが「どうして透明なのか」「どうしてあんなにきれいに割れるのか」考えたことはありますか?
実は、科学の世界でガラスは、氷や鉄とはまったくちがう「とても不思議で特別なもの」として扱われています。もしかしたら、みなさんが知っている「固体のルール」を大きくくつがえしてしまうかもしれません。今回は、身近なガラスの「なぜ?」を一緒にのぞいてみましょう!
ガラスってどんなもの?暮らしの中のふしぎ
ガラスは液体?!
氷や、鉄を思い浮かべてみてください。これらの状態は固体と呼ばれ、融点を超えると解けだし、液体に変化しますよね。
固体と液体の違いは明確。氷を構成する水分子や、鉄を構成する鉄分子が完全に静止していれば、固体、自由に動き回っていれば液体です。

ところが、ガラスはまったくちがいます。ガラスを温めてドロドロに溶かしたあと、冷やして固めるときに、あまりにも急激にねばり気が強くなるため、粒たちがキレイに並ぶ時間がありません。その結果、粒がバラバラに散らかった「液体のときの並び順」のまま、無理やり動けなくなって固まっているのです。
つまり、ガラスは「液体の姿のまま、時間を止められてカチカチになったもの」で、物凄く粘性が高い液体であるともいえます。
氷とちがって「溶ける温度」が決まっていない?
氷は0度になると一気に溶けて水になりますよね。このように、普通の固体には「ここを超えたらドロドロに溶ける」という決まった温度(融点)があります。
ところが、ガラスにはこの決まった温度が存在しません。熱していくと、ある温度を境に急に液体になるのではなく、だんだんと水あめのようにやわらかくなっていきます。
この「決まった融点がない」という性質があるからこそ、熱でやわらかくしながら息を吹き込んで丸いコップを作ったり、細く長く引き伸ばしてインターネットの通信に使う「光ファイバー」を作ったりと、自由自在に形を変えることができるのです。
どうしてガラスは透き通って見えるの?
牛乳が白く見えたり、紙が透けなかったりするのは、光が通り抜けるときに粒やスキマにぶつかって、あちこち跳ね返る(散乱する)からです。
でも、ガラスには規則正しい結晶の境目がありません。粒がバラバラに散らばっているおかげで、すき間を光がまっすぐ通り抜けることができます。さらに、ガラスの主な材料である「けい砂(石英という砂の成分)」の粒が、目に見える光を吸収しない性質を持っているため、まるで何もそこにはないかのように透き通って見えるのです。
カチカチなのにどうしてすぐ割れちゃうの?
「ガラスは壊れやすい」というイメージがありますよね。でも、実はガラスという素材そのものは、金属の鉄に負けないくらい引っ張る力に強い物質です。
それなのに割れてしまう原因は、ガラスの表面にあります。肉眼では見えないほどミクロな「小さな傷」がたくさんついているからです。ガラスに強い力が加わると、その小さな傷の先端に力が一気に集まってしまい、そこからピキッと全体にヒビが走ってしまいます。もし傷がひとつもない完璧なガラスを作ることができたら、ビルから落としても割れないくらい頑丈だといわれています。
もっと知りたい人へ!一歩ふみこむ科学の扉
ガラスの性質をもっと深く調べてみたいなら、ぜひ図書館やインターネットで以下のキーワードを検索してみてください。高校や大学の物理・化学の世界へとつながる、面白い発見がたくさん待っていますよ。
- アモルファス(非晶質):結晶を作らない固体のこと。ガラスの正体はこれです。太陽電池などにも使われています。
- ガラス転移(ガラス転移点・Tg):明確な融点を持たないガラスが、硬いガラス状態からやわらかいゴムのような状態へと変わり始める温度のことです。
- グリフィスのき裂理論:目に見えない小さなキズに応力が集中して割れる仕組みを解き明かした、材料工学や物理学の有名な考え方です。
ガラスのふしぎ、解き明かせたかな?
毎日当たり前に見ているガラスは、「液体の散らかり具合のまま凍りついた」という、奇跡のようなバランスで成り立っている特別な物質です。次に窓やコップを見るときは、その奥にあるミクロの世界のドラマをぜひ思い出してみてくださいね。
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参照元
- 一般社団法人 日本板硝子協会「ガラスの基礎知識・ガラスの歴史と科学」https://www.itakyo.or.jp/
- 文部科学省「キッズサイエンス カガクのトビラ」https://www.mext.go.jp/
- 国立研究開発法人 科学技術振興機構(JST)「理科の教育情報・物質の状態変化」https://www.jst.go.jp/

