風の強い日に公園の砂場や、学校のグラウンドで砂埃を吸い込んでしまった経験は、きっと誰にでもあるのではないでしょうか。
口の中がジャリッとして、あまりいい気持ちはしませんよね。
でも、ここで毎日の暮らしの中の一つの「ハテナ」が浮かびませんか?
「私たちが毎日少しずつ吸い込んでいる砂やホコリは、体の中のどこへ行ってしまうのだろう?」
「吸い込んだ分だけ、お腹や肺の中に砂の山ができているの?」
と不安に思う人もいるかもしれません。でも、安心してください。まさか体の中が砂場になっているわけではありません。私たちの体には、外から入ってきた砂埃やゴミを「いらないもの!」と判断して、ポイっと外へ捨てる、とっても精巧ですごい防衛システムが備わっているのです。
今回は、吸い込んだ砂埃がどのようにして体の外に出されるのか、その驚くべきお掃除の仕組みを一緒に探検してみましょう!
鼻や口から入った砂埃のゆくえ
第一の関門!鼻毛とネバネバの正体

まず、空気中に舞い上がった砂埃が体に入ろうとする最初の入り口は「鼻」と「口」です。
しっかりと鼻呼吸をしていると、鼻の中にある「鼻毛」が立派なフィルターの役割をしてくれます。マスクのように、鼻毛が大きな砂粒やホコリを網の目でキャッチして、体の奥へ進むのを最前線で防いでくれるのです。
さらに、鼻の奥の壁からは「鼻水」などのネバネバとした粘液が常に少しずつ分泌されています。このネバネバは、鼻毛のフィルターを通り抜けてしまった細かなゴミや砂埃をピタッとくっつけて捕まえます。
粘液に捕まった砂埃が乾燥して固まると、みんなが知っている「鼻くそ」になって、最終的に体の外に出されるというわけです。
のどと気管の「見えないエスカレーター」

では、口から直接吸い込んでしまった砂埃や、鼻のフィルターをくぐり抜けてしまった細かなゴミはどうなるのでしょうか。
それらは、のどを通り抜けて「気管」という肺に続く空気の通り道へと進んでいきます。
気管の壁を拡大してみると、そこには「線毛(せんもう)」という、目には見えないほど細くて短い毛が、びっしりと生えそろっています。そして、この毛の周りもまた、潤いたっぷりのネバネバの液体で覆われています。
(龍角散のCMで見たことないですか?笑)
この無数の小さな毛たちは、一定のリズムで波打つように動き続けています。まるで見えない上りのエスカレーターのように、ネバネバにくっついた砂埃を、のどの方に向かって上へ上へと押し戻してくれるのです。
これが「痰(たん)」の正体です。
また、例え痰を飲み込んでしまっても心配ありません。体の内側を通って、最終的には便として排出されます!
肺の奥深くまで入ってしまったら?
頼れるお掃除屋さん「マクロファージ」
鼻の関門も、気管のエスカレーターもすり抜けてしまうほど、とっても小さな砂埃や粒子は、空気の通り道をどんどん奥へと進み、肺・肺胞(はいほう)と呼ばれる場所までたどり着いてしまいます。
肺胞は、酸素と二酸化炭素を交換するための、とても小さな風船のような場所です。
この一番奥の肺胞には、先ほどお話ししたエスカレーター(線毛)がありません。自力でゴミを押し戻すことができないため、一見すると大ピンチに思えます。
しかし、ここには私たちの体を守る頼もしい細胞がパトロールしています。それが「肺胞マクロファージ」という名前のお掃除屋さんです。
白血球の仲間であるマクロファージは、アメーバのように肺の中を自由に動き回っています。そして、肺の奥にやってきた小さな砂埃やばい菌を見つけると、自ら近づいていき、なんとパクパクと食べて自分の中に取り込んでしまうのです。
お掃除された砂埃、最後はどうなるの?

では、マクロファージに食べられた砂埃は、その後どうなるのでしょうか。
砂埃をたっぷりお腹の中に抱え込んだマクロファージは、自ら移動して気管のエスカレーターに乗り込み、のどまで運ばれて痰として出されたり、リンパ管という別の通り道に入り込んで体の外へ捨てられたりします。
もちろん、都会の空気を吸っている大人の肺には、どうしても処理しきれなかった微細な黒いススなどが少しずつ蓄積していくこともあります。しかし、基本的にはこうして、私たちの肺が砂やホコリでいっぱいにならないように、細胞たちが24時間休むことなくお掃除を続けてくれています。自分では意識していなくても、体の中では毎日大掛かりな大掃除が行われているなんて、人間の体って本当にすごいと思いませんか?
専門的な解説(もっと知りたいキミへ!)
ここまで読んで、「もっと体の仕組みを知りたい!」と思った人のために、少しだけ専門的な言葉や知識を紹介しますね。
気管にある毛がゴミを押し出す仕組みは、医学の世界では「粘液線毛輸送機能(ねんえきせんもうゆそうきのう)」や「気道クリアランス」と呼ばれています。
また、天気予報などで「PM2.5」という言葉を聞いたことはありませんか?これは髪の毛の太さの30分の1程度という、極めて小さな微小粒子状物質のことです。これらはあまりに小さすぎるため、気管のエスカレーターを簡単に通り抜けて肺の奥深くまで入りやすく、呼吸器系や循環器系に悪影響を与えることが心配されています。そのため、国や環境省も注意を呼びかけているのです。
興味が湧いた人は、「肺胞マクロファージ 働き」や「PM2.5 なぜ危険」といった言葉で、ぜひ自分でも詳しく調べてみてくださいね!
まとめ
私たちがうっかり吸い込んでしまった砂埃は、決して体の中に溜まり続けるわけではありません。鼻毛のフィルター、ネバネバの粘液、気管の見えないエスカレーター、そして肺の奥で活躍するお掃除屋さん(マクロファージ)という素晴らしいチームワークによって、しっかりと体の外へ追い出されています!
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参照元
・環境省:微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報https://www.env.go.jp/air/osen/pm/info.html
・環境省:第5章 大気汚染の影響 – 人体影響https://www.env.go.jp/earth/coop/coop/document/apctm_j/02-apctmj1-05.pdf

