今回は、古代の占いの道具「卜骨(ぼっこつ)」について少し解説、
記事の要約
- 卜骨(ぼっこつ)とは: 古代の占いに用いられた動物の骨(主に鹿や猪の肩甲骨)のこと。
- 占いの方法: 骨の表面に熱した棒を押し当て、熱によって生じた「ヒビの入り方」で吉凶を判断していました
占いのルーツに迫る!古代から伝わる「卜骨(ぼっこつ)」とは
卜骨の意味と歴史的な背景
「卜骨」と書いて、「ぼっこつ」と読みます。普段の生活ではあまり聞き慣れない言葉ですよね。卜骨とは、簡単に言うと「占いのために加工され、使われた動物の骨」のことです。
動物の骨を使う占いを「骨卜(こつぼく)」と呼びます。主に使われていたのは、シカやイノシシの肩甲骨です。肩甲骨は平たくて面積が広いため、占いのヒビを読み取るのに適していたと考えられています。
歴史をさかのぼると、中国の殷(いん)王朝の時代には、国家的な占いが行われていました。その占い結果を記録するために骨に彫られた文字が、有名な「甲骨文字(こうこつもじ)」です。 日本においては、弥生時代(第Ⅰ期ごろ)から卜骨が出土しはじめ、古墳時代、そして奈良・平安時代へと長く受け継がれていきました。
亀の甲羅を使う「卜甲(ぼっこう)」との違い
骨卜とよく似た占いに、亀の甲羅を使うものがあります。こちらは「亀卜(きぼく)」と呼ばれ、使われる甲羅のことは「卜甲(ぼっこう)」と言います。
日本列島では、弥生時代からシカやイノシシの骨を使った「卜骨」が先に広まりました。その後、古墳時代後期ごろになってから、アオウミガメなどの海亀の甲羅を使った「卜甲」が出現するという歴史的な順序が、遺跡の発掘調査から明らかになっています。例えば、神奈川県三浦市の間口洞穴からは、6世紀ごろの卜甲が出土しています。
古代人はどうやって占っていた?「骨卜」の具体的な方法
熱を加えてヒビを見るシンプルな仕組み
では、古代の人々は具体的にどうやって動物の骨で未来を占っていたのでしょうか?
やり方の基本はとてもシンプルです。卜骨として用意した骨の表面に、先端を熱く焼いた木の棒などを押し当てて点状に焼きます。すると、急激な熱の変化によって、骨にピキッとヒビが入ります。当時の人々は、このヒビの入り方や方向、形を細かく観察し、神様からのメッセージとして吉凶を判断していました。
天候や農作物の作柄、狩猟の結果、さらには政治的な決断まで、重要なことはこの占いによって決められていたという記録が残っています。
『魏志倭人伝』に残された当時の記録
実は、この骨を使った占いについては、有名な中国の歴史書『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』にもはっきりと書き残されているんです。
『魏志倭人伝』には、当時の倭(日本)の風習として「何かをしようとしたり、どこかに出かけようとする場合には、必ず骨を焼いて吉凶を占う(輒灼骨而卜、以占吉凶)」という内容が記載されています。
発掘される考古学的な遺物(卜骨)と、歴史書の文献記録が見事に一致しているのは、とてもロマンがありますよね。
なぜシカやイノシシの「肩甲骨」が選ばれたの?4つの理由
古代の人々は動物の骨を使っていましたが、他の部位や他の動物ではなく、なぜ主に「シカやイノシシの肩甲骨」がスタンダードになったのでしょうか。そこには、古代の人々の理にかなった明確な理由が存在しました。
1. ヒビを読み取るのに最適な「キャンバス」だったから
占いの基本は、熱を加えて生じた「ヒビの形や方向」を読み取ることです。そのためには、ヒビがはっきりと見え、かつ複雑なヒビが走るだけの広さを持つ「平らな骨」が必要でした。 肩甲骨(背中の肩の骨)は、扇形に広がった平たくて広い形状をしており最適だったのです
2. 熱でヒビが入りやすい「薄さ」を持っていたから
脚の骨のように分厚くて頑丈すぎる骨だと、熱した木の棒を押し当てても中まで熱が伝わらず、きれいなヒビが入りません。肩甲骨は面積が広いだけでなく、部位によっては比較的薄くできているため、ひびを入れやすかったのです。
3. 身近で手に入りやすい大型動物だったから
当時の日本列島において、シカやイノシシは食料として狩猟される最も身近な野生動物でした。遺跡からの出土品を見ても、これらの動物の骨は大量に見つかっています。 日々の狩猟の中でコンスタントに手に入り、かつ占いという重要な儀式に使えるだけの立派なサイズを持つ骨として、シカやイノシシが選ばれるのは当時の生活環境からしてとても自然な流れでした。
4. 動物の「霊力」にあやかるため
古代の人々は、自然界のものや動物に目に見えない力が宿っていると考えていました。特にシカは、古くから神聖な動物や神様の使いとして特別視されてきた歴史があります。 生命力あふれるイノシシや、神聖なシカの骨そのものに宿るパワーを借りることで、より正確に天候や吉凶などの神の言葉を聞き取ろうとしたという、精神的な側面も大きかったと考えられています。
まとめ
いかがでしたか?今回は、古代の占いの道具「卜骨(ぼっこつ)」について詳しくご紹介しました。
私たちが何気なく楽しんでいる占いにも、実は命がけで天候や吉凶を占っていた古代の人々の切実な祈りがルーツとして存在しているんですね。歴史書『魏志倭人伝』の記述と、遺跡から見つかる卜骨がリンクすることで、古代の生活がとてもリアルに感じられます。
博物館や資料館を訪れる機会があれば、ぜひ展示されている卜骨を探してみてください。小さなヒビの中に、数千年前の人々の息遣いが感じられるはずですよ!
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参照元
- 公益財団法人 黒川古文化研究所「卜骨」 URL: https://www.kurokawa-institute.or.jp/pages/294/
- 鳥取県 青谷上寺地遺跡「卜骨」 URL: https://www.pref.tottori.lg.jp/secure/1233485/13bokkotu.pdf
- 文化遺産オンライン「卜骨」 URL: https://online.bunka.go.jp/heritages/detail/46505
- 壱岐市立一支国博物館「主な展示品 ト骨」 URL: http://www.iki-haku.jp/exhibit/
