のどや肺を痛めたとき、あなたは病院に行きますよね?そして診察室が終わったあと、ホースの先にマスクがあり、白い煙のようなものが出てくる機械に案内されたことはありませんか?
「あれは一体なにが出ているの?」「何を吸い込んでいるのか?」と疑問に思ったことはないでしょうか。
今回は、あの白いモクモクの正体と、体に届く不思議な仕組みを分かりやすく解き明かしていきます。
白いモクモクの正体と仕組み
モクモクの正体は「とても小さな水(薬)の粒」
あの白いけむりの、正体は、液体の飲み薬や吸入液を、目に見えないほど細かく砕いた「薬の霧(エアロゾル)」です。
飲み薬はお腹(胃や腸)に入ってから体に吸収されますが、咳やぜんそくで苦しいときは、空気の通り道である「気管」や「肺」に直接届いてほしいものですよね。
そこで活躍するのが、液体のお薬をとても細かい霧に変えて、息と一緒に吸い込めるようにする「ネブライザー」という医療機器です。
どのくらいの大きさの粒なの?
水滴が大きすぎると、鼻毛や口の壁にくっついてしまい、奥まで届きません。逆に細かすぎると、息を吐いたときにそのまま外へ逃げてしまいます。
ネブライザーが作る霧の粒は、およそ1マイクロメートルから5マイクロメートル(1ミリメートルの1000分の1から500分の1)という、目で見分けるのが難しいほどの極小サイズに調整されています。

この絶妙な大きさだからこそ、呼吸に合わせて奥の気管支や肺までスーッと届くことができるのです。
粒の大きさで届く場所が違う!
吸入した霧の粒が体のどこに届くかは、粒子の大きさによって変わります!

届く場所は粒の大きさや呼吸のスピードによって決まります。たとえば、大きな粒子は曲がり角を曲がりきれずに壁にぶつかる「慣性衝突」でのどに付着し、適度な小ささの粒子は「重力沈降」によって細い気管支へ落ち着きます。
どうやって液体を霧にしているの?
ネブライザーが液体をサラサラの細かい霧に変える方法には、主に次のようなタイプがあります。
- ジェット式(コンプレッサー式)強い空気の力(圧縮空気)を一気に吹きつけることで、液体のお薬を細かく砕いて霧にします。病院でよく見かける、少し「ブーン」と音がするしっかりした機械の多くはこのタイプです。
- 超音波式水や薬に目にも止まらぬ速さの振動(超音波)を直接伝えて、水面からはじけ飛ぶように細かい霧を作り出します。音がとても静かなのが特徴です。
- メッシュ式目に見えないほど小さな穴が無数にあいた金属の網(メッシュ)に振動を与え、薬の液体を網の向こう側に押し出して霧にします。手のひらサイズで持ち運びやすく、お家で使うときにもよく選ばれています。
より深く知りたい方へ:ステップアップ解説
もっと知りたい方は、流体力学や気道内の粒子の動きについて調べてみてください
「エアロゾル粒子 沈降」「吸入療法 MMAD」といったキーワードで専門書や医学論文を調べてみると、物理現象と体の仕組みが見事に組み合わさっている様子をさらに深く学べます。
まとめ
あの白いモクモクは、お薬を息と一緒に肺の奥まで届けるために、機械が工夫して作り出した「目に見えないほど小さな薬の霧」でした。
おすすめ記事
参照元
- 一般社団法人 日本アレルギー学会「小児気管支ぜんそく治療・管理ガイドライン」
- 日本小児呼吸器学会「小児の気道アレルギー・呼吸器疾患における吸入療法に関する手引き」
- 独立行政法人 環境再生保全機構「すこやかライフ:ぜん息と吸入療法」https://www.erca.go.jp/

