電池もないのになぜ動く!? ICカードの仕組みを解説

暮らしと科学のハテナ

電車に乗るときやコンビニでお買い物をするとき、SuicaやICOCAを機械に「ピッ」とかざすだけで支払いが終わりますよね。

カードはとても薄く、なかには電池が入っている様子はありません。

なのになんでメンテナンスもなく長期間に渡って使用できるのか?

チャージして入れてお金はどこに保存されているのか?と不思議に思ったことはありませんか?

毎日のように使っている身近なカードですが、実は中にとんでもない技術がぎゅっと詰まっています。今回は、そんなICカードの「なぜ?」を一緒に解き明かしていきましょう!

ICカードってどんな仕組み?かざすだけで通信できる理由

ICカードを光に透かしてじっくり見てみても、中には黒い線や小さな粒が見えるくらいで、普通のプラスチックの板のように見えますよね。まずは、あの薄いカードの中で何が起きているのかを見ていきましょう。

カードの中に隠された「アンテナ」と「小さな頭脳」

ICカードを分解してみると(壊れるので実際にはやらないでくださいね!)、外からは見えない2つの大切な部品が入っています。

  • アンテナ(ぐるぐる巻きのコイル)
    カードの外枠に沿って、細い金属の線が何周も巻かれています。
  • ICチップ(小さなコンピュータ)
    砂粒ほどの小ささですが、データを記憶したり計算したりする頭脳を持っています。

カード自体には電池が一切入っていません。では、動くためのエネルギーはどこからやってくるのでしょうか?

電池がないのに動く秘密は「目に見えない電気の力」

答えは「改札機やお店のリーダー(読み取り機)から電気をもらっているから」です。

理科の実験で、磁石をコイルに近づけたり遠ざけたりすると電気が流れる「電磁誘導(でんじゆうどう)」という現象を習ったことがあるかもしれません。ICカードはまさにこの仕組みを使っています。

電気をつかって磁界(電磁石)を作れるように、磁石によって電気を作れるのです!

  1. 改札機のタッチ部分からは、常に目に見えない磁界(磁石から出る力)が出ています。
  2. そこにICカードを近づけると、カードの中のアンテナが電波をキャッチします。
  3. すると、電磁誘導によってカードの中に一瞬だけ電気が生まれます。
  4. その電気を使って小さなICチップが目覚め、改札機と「残高はあるかな?」「どこから乗ったかな?」というデータのやり取りを行います。

つまり、カードをかざした瞬間に「発電」と「通信」を同時に行っているのです。だから電池がなくても元気に動いてくれるのですね。

0.1秒で処理が終わる驚きのスピード

日本の駅の改札は、世界でもトップクラスのスピードを誇ります。なんと約0.1秒(1秒の10分の1)という瞬きの間に、電気を受け取り、データを暗号化してやり取りし、残高を計算してゲートを開けています。

通勤や通学でたくさんの人が並ぶ日本の駅だからこそ、立ち止まらずにスムーズに通れるように開発された素晴らしい工夫です。

もっと知りたい人へ!専門的な技術の世界

ここまでの仕組みを知ると、「もっと深い技術を知りたい!」とワクワクしてきますよね。さらに詳しく探究したい方のために、技術のキーワードを少しだけ紹介します。気になった言葉はぜひ図鑑やウェブで調べてみてくださいね。

RFIDとNFC

ICカードのように、電波を使って触れずに情報をやり取りする技術全体をRFID(Radio Frequency Identification)と呼びます。その中でも、数センチ〜10センチ程度の近い距離で通信する規格をNFC(Near Field Communication / 近距離無線通信)といいます。スマートフォンのタッチ決済もこの仲間です。

日本生まれの高速技術「FeliCa(フェリカ)」

日本の交通系ICカード(SuicaやPASMOなど)には、ソニーが開発したFeliCaという非接触ICカード技術が使われています。FeliCaは「13.56MHz(メガヘルツ)」という周波数の電波を使い、高い安全性と超高速な通信スピードを両立させています。

毎日の「ピッ」を支えるすごい技術

ICカードは、目に見えない電気の力(電磁誘導)と極小のコンピュータチップの連携によって、電池なしでも一瞬で通信できる魔法のような仕組みで動いています。

普段何気なくタッチしているその一瞬にも、たくさんの工夫と科学の力が詰まっています。次に改札を通るときは、カードの中で起きている一瞬の電気とデータの旅を、ぜひ思い出してみてくださいね!

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